Y字路はなぜ生まれるのか?/重永 瞬

Y字路はなぜ生まれるのか?/重永 瞬

図書館の新刊書コーナーにありました。B6判で200P程度の小さな本ですが、見たときはこのテーマが1冊の本になるのというのが正直な感想でした。

赤瀬川原平氏の路上観察、トマソンはよく知られていますが、Y字路観察専門のジャンルもあるようです。昔からの街道の分かれ道(三叉路)には追分という地名があり、日本で一番有名なY字路は渋谷のSHIBUYA109と言われればそのとおりですが、それをY字路として意識することはまずありません。この本は地形、地理、成り立ちなど様々な観点からY字路を分類、考察したフィールドワークで、「Y字路の角度は何度が理想か?」なんて章もあれば、楽曲、マンガ・アニメ、詩歌、事件、新聞紙上に登場するY字路、さらにY字路の“巨匠” 横尾忠則についても紹介した労作でした。さらに横尾忠則、“ブラタモリ”で博識ぶりを披露している街歩きの達人 タモリ、糸井重里氏のY字路鼎談なんかもあったようで、Y字路の奥深さを熱く語っておられます。

日常は気にもとめず風景の一部でしかなかった(普通はそうだと思いますが)Y字路について面白く読みました。著者のY字路愛もすごいですが、この本の随所に掲載された写真で見るY字路の見事なこと! 特に巻頭の写真集のY字路は魅力的な風景でなにか惹きつけられるものがあります。

この本を読んでただ運動のためだった毎日の街歩きが、これからはちょっと楽しいものになることは間違いありません。

2024年10月23日 初版 発行:㈱晶文社